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2016 最優秀研究室「航空宇宙工学科・小幡研究室」

座談会スタイルでつなぐ、NBUトークマガジン。 2016年度の卒業研究・論文合同発表会で、3年連続で航空宇宙工学科・小幡研究室が最優秀研究室に輝き、 退職される小幡章教授の花道を飾りました。先生が学生たちに贈る、最後の言葉!

0182017 JULY

バラバラな5人は、
最強の5人だった。

波多野 小幡先生が私たちと一緒にNBUを卒業されるということで、先生にとっても最後の卒業研究の指導でした。小幡先生が息を吹き込み、先輩たちの研究成果が詰まったマイクロ・エコ風車の集大成にふさわしい研究発表にしたいという思いが強かったです。

濱田 きちんとした形で締めくくりたい。そんなプレッシャーもあったよね。先生にも、特別な思いがありましたか?

小幡 あまりなかったな(笑)。みんな就職活動にも苦労していたし、卒業研究どころじゃないって。ただ、これまで最優秀研究賞を何度も受賞してきたから、“今年も”という思いはあったよね。しかし、そもそも君たちは、まあまあ成績が良くて、ちょっと勉強すれば良い結果が取れると、卒業研究を少し甘く見ている感じがしたから無理だろうと、研究室に配属された頃は思っていたね。

一同 (笑)

小幡 でも素晴らしい人間力を持っていた。その点では教えることなんて一つもなかった。技術者としての基礎学力は決して高くないんだけど、5人が集まるとパワーがあって。それぞれに長所があったね。いちばん頻繁に研究室に来てた長くんは、常に冷静で気持ちが安定している。

 ありがとうございます。

 長くんはほとんどの事を把握していたから、何を聞いても答えてくれてすごく助かりました。

小幡 濱田くんは集中力があったね。私の講義もよく勉強していた。

濱田 先生の講義は、幅広い知識を考察しながらひとつの結論に至るので、とても興味深かったです。

小幡 とくに零戦の模型を完成させたのはすごかったね。3年前、いかに零戦の部品が多いか見せようと思って、ある飛行機好きの学生にやらせたら、1か月でギブアップしちゃった。それくらい大変なんだけど、濱田くんはやり遂げてくれた。並大抵のことじゃないです。

 濱田くんは、メンバーの中でダントツにスゴい加工技術を持っていて、いつも想像以上のものに仕上げてくれたよね。

濱田 こだわりすぎる性格で、いつもやり過ぎることがあるって自分では思っていたから、役に立てたのなら嬉しいよ。

小幡 それから森くん。君は今の大人が近年やっと身につけた環境意識をすでに持っていた。徳之島で育ったからかもしれないね。

 島の美しい環境を見ている反面、海に大量のゴミが漂着し、それをウミガメが飲み込んで死んでしまうというような相反する現実を見て育ちました。そういった点が、卒業研究における環境情報取得の技術開発を考える上で活かせたと思います。

波多野 育った環境のせいか、森くんはとにかくよく寝るよね(笑)!

一同 (爆笑)

波多野 のんびりしていて効率は良くないけど、ひたむきさは誰にも負けない。ここまで結果を出したいと思ったら、人の10倍の時間がかかっても必ず結果を出す粘り強さはすごいよ。

小幡 そういう波多野くんは、外国人と日本人の性格の両方のいいところを持ち合わせている。謙虚だけど、積極的でもある。

波多野 はっきりと自己主張はするけれど、初対面の方に対する礼儀作法は守りたいと思っています。

小幡 だから、輪の中にいても、みんなのどこか抜けた部分を埋められる人だと思っていますよ。そして、中島くんがいちばん摑みどころがなかった。だけどね、卒業研究の間に良いところがたくさん見えてきて、なるほどなぁと思った。物腰は柔らかいけど、芯がしっかりしている。チームプレーの中では欠かせない要素だと思うね。

波多野 2年生のとき、僕と長くんと濱田くんがビジネスプランコンテストに挑戦したんですが、そのときにカンサットプロジェクトから森くんと中島くんを引っ張ってきたんです。それがこの5人の原点。

小幡 そうか、引き抜いてきたのか! 5人のキャラクターはバラバラだったけど「一つか二つの物事しか視野に入ってない」という不思議な共通点があったよなぁ。何でもっと調べないんだと思ったことが多々あって、1年生だったらいろいろ指導できただろうけどね、君たちは4年生から来たから、もう遅かったな(笑)。だからこそ、強みを活かす指導の方が良いと判断したんだ。

波多野 ビジネスプランコンテストのときのテーマはトンボの紙飛行機でした。小幡研究室のマイクロ・エコ風車もトンボの技術を応用しているものなので、卒業研究もこの5人のメンバーでやり遂げたいという強い思いがあったんです。

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ずっと胸に残る
小幡先生が、教えてくれたこと。

濱田 小幡研究室には過去の実績があるので、成果を出さなければというプライドというか、使命感もありました。それが5人のモチベーションでした。

中島 このメンバーの中には、ネガティブな人間がいません。全員、ポジティブシンキングで「前に前に!」というタイプ。例えば実験に失敗しても、立ち止まらず違うやり方でやってみようとします。落ち込んでいる暇があるのなら、その時間を改善のためにあてようぜ、という感じで。

小幡 君たちはみんな外向的。ここまで外向的なのは珍しいだけじゃなくて、多くの研究者のように内向的な僕にとっては、うらやましいレベル。それに今回、最優秀研究室に選ばれたのは、その外向性が勝因だったと思いますよ。

波多野 それにしても、よく研究したなぁ。朝から朝までとか。

中島 そうだなぁ。深夜になると頭が働かないから、深夜は実験にあてて、明るいうちは頭を働かせるって、効率を考えたりもして。

 効率といえば、僕はパソコンでプログラミングをすることが多かったけど、悪い箇所を探す作業を主に担当していた。ただ、悪い箇所を見つけて自分で直そうとすると1〜2時間かかってしまうから、そういう得意じゃない分野はカバーしてもらっていたね。

 研究室のメンバーというのは、ジグソーパズルのようなものだと思います。うまく組み合わせることで一つの絵ができあがる。それぞれのピースに対してケチをつけたり、形をはじめから決めつけたりすると、いつまで経っても絵になりません。

小幡 なるほどね。ところで、みんなが私についてどう思っているのかも聞きたいなぁ!

波多野 ここで全ては言い切れません!でも、先生は僕たちの憧れであり、目標とする人です。これはみんなも感じていることだと思う。日本で大学院を卒業し、外国の大学院でも勉強している点で、まずはひとりの素晴らしい研究者として尊敬の念を抱いています。

 そうだね。だから初めの頃は、先生と話すのもちょっと緊張していました。すれ違っても挨拶をするくらいでしたが、研究室に行くといろいろなお話をしてくださるのが、本当にありがたかったです。

波多野 同時に、大人でありながら子どものような視点も持っていること。普通は大人になったら失ってしまう考え方や発想を持ちながら年齢を重ねている点に驚きを感じました。大人であれば気にもかけないことや些細な変化を少年のような気持ちで見つめ、考えていく姿勢は大変魅力的です。

小幡 息子からも、私は子どもみたいだと言われます(笑)。

濱田 波多野くんの言う通りだと思います。週に1回、先生を交えて全員でミーティングをするのですが、先生からはいつも、自分の視野の狭さを痛感させられました。先生のように、広い視点で物事を見渡せるようになれたらと思います。

 自分たちが考え抜いて出した答えより、何歩も先の話をされるところもすごいです。さらに努力を重ねてやっと小幡先生の出した答えにたどり着いたことが何度もありました。

社会に出る君たちへ
最後に、伝えたいこと。

小幡 君たちと話をしている最中は、先生と学生ではあるんだけれど、一緒に遊ぶ仲間のような兄弟のような、そんな存在だと思っていました。年を取ってからも、私がいちばん仲の良い友だちは同じ釜の飯を食っていた高校時代の友だちなんです。なかには医者になったやつもいれば弁護士や裁判官、銀行員もいる。道は違うけど、会っていちばん楽しいのは彼ら。君たちも卒業すると進む道はバラバラだけど、年を取ってもきっと仲の良い友だちのままだろうね。

 この5人は、自分にないものを持っている人ばかり。そういう仲間といればいろんなことができると思っていましたし、その通りになりました。社会人になっても、時にはみんなと集まって遊んだり、話をしたりできたらいいなぁと思います。

中島 うん。5人の個性がバラバラすぎてすごいなと思うくらいだったけど、それでも協力し合えるということの方にびっくりした。社会に出ると、もっといろいろな人とつながるはず。小幡研究室の仲間みたいに、協調性を持ってお互いに意見を言い合えるような雰囲気づくりをしていかなければと感じています。このメンバーは、初めからそういう雰囲気をつくらなくてもウェルカムだったけどね!逆に逃げようと思ったら離さない、みたいな(笑)。

濱田 うん(笑)。メンバーの距離が近くなればなるほど、コミュニケーションを密に取らなければいけないと僕は思ってる。卒業研究で見せた5人の団結力は、コミュニケーションの賜物だよ。

 僕は、小幡先生のように常に一歩先のことを考え、考えをまとめ、行動できる人間になりたいです。まだまだ未熟だから。

波多野 そうだな。最優秀研究室の受賞はもちろん嬉しかったけど、もっと積極的に小幡先生にアプローチしていたら、もっともっと上の領域に行けたのではないかという思いがあります。社会に出てもきっと同じことだから、上司や先輩の方々に、積極的にぶつかっていきたいです。

小幡 私の想像が及ばないくらい外向的な君たちだから、社会に出ても全然心配はいらない。十分に力があります。ただ、努力をしなくてもやっていけるけれど、世の中にはものすごく努力をする人が存在しているということを知っていてほしい。ちなみに、卒業研究に特別な思いはあまりなかったと言いましたが、君たちが一生懸命努力していたので、最優秀研究室を獲り、喜ばせてあげたいなと、強く思っていましたよ。

一同 小幡先生、これまで本当にありがとうございました!

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MEMBER

工学部 航空宇宙工学科 卒業(2017年3月)
長 亮汰Ryota Cho
(大分県/大分高校 出身)
就職先 株式会社 飯田設計

つねに冷静、つねにフラットで穏やかな性格。メンバー全員に気を配ることができ、みんなが作業しやすいよう研究環境を整え、先生とメンバーの橋渡しになることを自らの使命としていた。熱心に研究に取り組み、研究室をまとめた功労者。

工学部 航空宇宙工学科 卒業(2017年3月)
波多野 モイセスMoisesu Hatano
(京都/昭和第一学園高校 出身)
就職先 株式会社 スターフライヤー

小幡教授から「外国人と日本人のいいところを併せ持っている」と評される。自分の意見はハッキリと主張する押しの強さがありながら、周囲への礼儀も忘れない好青年。グローバルな視野を強みに、憧れの航空業界へ羽ばたく。

工学部 航空宇宙工学科 卒業(2017年3月)
森 弘尚Hironao Mori
(鹿児島県/樟南第二高校 出身)
就職先 株式会社 情報科学テクノシステム

鹿児島県徳之島町出身。のんびりとした島時間が体内を流れる研究室の癒しキャラ。速攻性はないものの、逆にどこまでも粘り強くひたむきなところや、環境に敏感な感性はメンバーの中でオンリーワンの長所。

工学部 航空宇宙工学科 卒業(2017年3月)
中島 潤哉Junya Nakajima
(宮崎県/県立日向高校 出身)
就職先 株式会社 大和

カンサットプロジェクトチームに所属していた実績をかわれ、波多野くんにヘッドハンティングされて小幡研究室へ。豊富な経験を活かし、効率的な手順の考案に貢献。ポジティブシンキングは、研究室の雰囲気を変えた。

工学部 航空宇宙工学科 卒業(2017年3月)
濱田 翔Tasuku Hamada
(愛媛県/新田高校 出身)
就職先 ANA福岡空港 株式会社

小幡教授の大ファンで、念願の研究室メンバーに。そのずば抜けた集中力と加工技術は皆が舌をまくほどで、研究室にある未完のままだった零戦模型を半年がかりで完成させた圧巻の技術を持つ。

工学部 航空宇宙工学科 教授
小幡 章Akira Obata

日本飛行機(株)ではボーイング777の製造や、はやぶさの開発にも携わる。2001年にNBUの教授に着任し、多くの学生に“開発の真髄”を伝えた。それと同時に、新しい発想で取り組んだ非羽ばたき型飛翔ロボットやマイクロ・エコ風車の研究開発を通じて、数々の特許も取得。