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地域の未来をつくるのは、情熱と、住民との絆。

座談会スタイルでつなぐ、NBUトークマガジン。今回は、建築学科「環境・地域創生コース」のプロジェクトに参加した三人の学生が池畑先生と共に登場。地域での様々な活動を体験することで学んだことや気づいたこと、思い描いた地域の未来をたっぷり語ってもらいました。

0152016 NOVEMBER

環境・地域創生コースとは?

各地域がそれぞれの特徴を活かし、自律的かつ持続的で魅力ある社会をつくり出す「地域創生」。すばらしい自然環境や農林業・水資源など、都会にはない資源が地域創生の起爆剤として注目されている。一方で、人口減少社会におけるさまざまな問題に対して、豊かな生活環境や地域コミュニティを実現する地域住民の主体的な取り組みと、それを支える専門性も求められている。NBU建築学科「環境・地域創生コース」では、地域を学びのフィールドにした実践的な授業を通じて、豊かな生活を実現する〝まちづくり・地域づくり〟ができる、今の地域社会が求める人材の育成に取り組んでいる。

現場だからこそ味わえた、 地域課題の難しさと面白さ。

池畑 これまでの建築学科は、住宅や公共施設の設計や構造を中心に学ぶことが多かったのですが、これからの時代はもう少し幅広い視点が必要です。人口が減少していく中で、地域のこと、そこに住む方々が本当に必要としているものが何かを考えることがとても重要になってきます。そのため、本学科では1年生から、地域をフィールドにした活動に参加してもらいますが、どのようなことを学びましたか?

安部 建築学科では、製図や構造計算などの「作業」が基本的に多いのですが、僕の夢は人との関わり合いを大切にする仕事に就くことだったので、環境・地域創生コースでの活動を通じて、人と関わりながら自分の将来や地域の未来を考えています。

押田 高校では、農業土木について学んでいたので、もっと専門的な知識を学びたいと思い、NBUに進学しました。高校時代は積極的に活動に参加したり、発言するタイプではなかったので、地域にでかけていろんな人と接することで自分を変えられるのではと思いました。実際に地元の方と一緒に作業をしたり、話をすることで地域や環境について積極的に考えたり、活動するようになりましたね。

三重野 私は、今は主に、設計の視点から「建築」を学んでいます。建物を建てるうえで一番最初に行うことは現地調査です。まちづくりの導線などを考えたりする際も、周辺環境が重要となってきます。1・2年生で様々な活動に参加するうちに、建築はただ建物を建てるだけではないということが分かるようになり、環境や地域とのつながりの中で、建築を考えるようになりました。

押田 三重野さんとは2年生のときに、九重町の「九重ふるさと自然学校」の前にある池を、そこのシンボルになるよう整備活動を行いました。まずは池底の泥や枯れ葉を20名くらいで掻き出しましたが、池の泥は想像以上に重く、梅雨時期の雨のせいで、作業は思うように進まず本当に苦労しました。途中で投げ出したくなるほど辛い作業でしたが、きれいに澄んだ池の水を見て、自分たちの力でこうなったんだという達成感がありましたね。

三重野 地域の方や「九重ふるさと自然学校」を利用される方が大切にされている場所。そのような場所の整備を任せていただいたことで、「絶対にやり遂げてみせる!」という責任感が作業の原動力になっていた気がします。

安部 自分たちで何かを再生させるというのは、頭で考えるだけでなく、汗も流さなくてはいけないから本当に大変なことだよね。押田くんとは、中津市の干潟の環境調査に行きました。あのときは他大学の学生と共同作業だったけど、当初、気持ちが消極的になってしまい…。そんなとき、他大学の学生から「もうちょっと積極的に話したり、作業を一緒にしよう」と励まされて「せっかく来ているんだから自分たちから動かなければ意味がない」という意識に変わりました。分からないことがあれば聞いたり、逆に自分たちが教えられることは教えるなど、コミュニケーションを大切にしながら行動するきっかけになりました。

池畑 一般的には、教室で学んだ知識をもとに、実習に取り組み、学んだことを試していきます。しかし、本コースでの学び方はそれとは反対のアプローチです。まずは、地域の中に飛び出して、現場を体感する。そこで見つけたり、気づいた課題の本質や解決策を地域の方々と長い時間を使って考える。そして、その解決策や計画を説得力のあるものにするため、座学で理論を学び、他の地域での成功事例や各種データを使って体系づけていくというスタイルで学びます。

現地での調査は、季節や天候などの影響も受けやすく、臨機応変な行動力と忍耐力が求められる。

現地での調査は、季節や天候などの影響も受けやすく、臨機応変な行動力と忍耐力が求められる。

大分県中津市での干潟の環境調査。複数の他大学やNPOとの共同研究のため、互いが刺激になりモチベーションが上がる。

大分県中津市での干潟の環境調査。複数の他大学やNPOとの共同研究のため、互いが刺激になりモチベーションが上がる。

地域の方々と共に考える 「まちの未来」。

押田 NBUが継続して活動している、豊後大野市大野町の小規模集落支援の取り組みでは、自分が「これをつくれば地元の方々は絶対に喜んでくれる!」と思っていたアイデアも、実際に地元のお宅に訪問して話を聞くと、地域の方々のニーズは全く異なり、考え方が180度変わることもありました。地元の方の意見やこれまでの経緯を聞くことで自分のアイデアにさらに厚みが出ることもありましたね。一日や二日の聞き取り調査では絶対に得ることができない貴重な意見だと思います。

安部 コミュニケーションは、短時間での交流ですぐに生まれるものではないんですよね。わずかな時間の交流で「より良い土地にするためにはどうすればいいと思いますか?」なんて聞いても地元の方が本心を語ってくれることはないと思うんです。一緒に食事をしたり、農作業を手伝ったり、時間や空間を共有することで、表面的なものではないコミュニケーションを取れるようになる。そこから徐々に地元の方との信頼関係を築くことができました。

池畑 大野町には観光スポットを巡るルート整備という課題もありました。その地に慣れた地元の方に課題となる道を案内していただいたのですが、学生たちが想像していたより険しい道のりでした。ただ資料を見て考えるのではなく、実際に経験することで課題の難しさ、厳しさを実感することを本コースでは大切にしています。

三重野 私は北九州の一部区画をリノベーションするというプロジェクトに参加しました。現地が遠いこともあり何度もリサーチに行くことはできなかったので、インターネットなどで調べて中間発表に挑みましたが、審査員の方に「この計画は、本当にお年寄りの目線になって考えられていますか?」と聞かれてしまい、何も答えれなくなりました。厳しい現実でしたが、設計図面の中にも、そこを利用する方たちの目線が入っているかどうかの大切さを痛感しました。中間発表の後に少しだけ時間があったので、商店街を歩いている地元の方にインタビューをしたり、インターネット上の地図では見えづらかった路地などを歩いてみました。実際に見て、聞いて、歩くことで新しい発見が数多くあり、設計や地域づくりの原点に改めて気づかされました。

地域づくりのためには、地域の方とのコミュニケーションは欠かすことができない。様々な活動を通じて信頼関係を築いていく。

地域づくりのためには、地域の方とのコミュニケーションは欠かすことができない。様々な活動を通じて信頼関係を築いていく。

経験を糧に、 答えが必ず見えてくる。

押田 NBUに入学して、様々な地域活動に参加するまでは、正直、人をまとめることが得意ではありませんでした。でも、様々な活動で、行政や企業の方々、高齢者といった幅広い年齢層や異なる立場の方々と接することにより、自分の中の考え方や行動が少しずつ変化していきました。

三重野 私は今まで設計製図をメインに学んでいましたので、必然的に個人での作業が多かったのですが、地域での活動を通して自分一人でできることは限られているけど、仲間と一緒に取り組むプロジェクトの可能性は無限大だと感じました。一人で行動をするのではなく、グループでアイデアを出し合いながら、みんなでより良い建築やまちづくりを考えて行動する。チームワークの大切さやチームで意見をまとめることの難しさは、今回の活動に参加しなければ味わうことのできなかった貴重な経験になりました。

安部 環境・地域創生コースの様々な活動を通じて、座学だけでは決して学ぶことのできなかった経験ができました。インターネットで調べただけで知った気になるのではなく、自分たちが取り組む地域の状況を実際に目で見て、感じることが何よりも重要だと思います。来年4月からは公務員として大分県庁の建設技術職員として地域のために働いていきます。

池畑 環境・地域創生コースでは、プロジェクトメンバー全員が、地域の未来に役に立つことを常に考えて欲しいので、私が事前に細かい指示をすることは極力控えていました。だから、これまで主体的に取り組んだすべての活動が、みんなの貴重な経験であり、自分を変えるヒントになっていると思います。これからも大学生ならではのアイデアと行動力で地域活性化に取り組んでいきましょう!

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MEMBER

工学部 建築学科4年
安部 正吾Shogo Abe
(大分県立大分南高校 出身)

環境・地域創生コースで取り組む数々のプロジェクトの中心メンバー。地域の課題に対して真摯に取り組む姿は後輩たちのお手本。難関の大分県庁、大分市役所の上級技術職員採用試験に合格し、地域創生を牽引する。

工学部 建築学科3年
三重野 和Nodoka Mieno
(大分県立別府青山高校 出身)

建築に興味を持ち、オープンキャンパスに参加したことがきっかけでNBU建築学科に入学。どんな課題に対しても正面から懸命に向き合う。笑顔を絶やさない温かい視点は、地域の方々に愛される建築へとつながっていく。

工学部 建築学科3年
押田 銀次Ginji Oshida
(佐賀県立高志館高校 出身)

高校時代に学んだ土木分野の知識や技術をベースに、さらなるステップアップを目指して佐賀県からNBUに入学。地域活動に積極的に取り組み、他大学との共同プロジェクトでも個性的なキャラクターを発揮している。

工学部 建築学科 教授
池畑 義人Yoshito Ikehata

「生物多様性」に配慮した新しい建築・土木事業に関する調査・研究に取り組む。学生とともにまちづくり、土木工学、生態学などの専門分野を融合させ、地域と協働しながら、環境との共生、災害に強い地域づくりを探求している。