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感動をつくり出す空間デザイン。

座談会スタイルでつなぐ、NBUトークマガジン。今回は、建築学科の近藤研究室でデザインを学ぶ3人の学生が登場。 大分県内のさまざまな場所に出向き、地域の祭りや空間を彩る空間デザイン。その魅力や可能性を語ってもらいます。

0122016 JULY

大学進学を決めたデザインへの想い。

高良 僕は工業系の高校のインテリア学科で、家具をつくったり、内装について学んでいました。ある時、テレビで「大改造!!劇的ビフォーアフター」を観て、建築って面白いなぁと興味を抱きました。NBUには建築学科があるので、沖縄県から九州・大分へとやってきました。みんなが建築やデザインを学びたいと思ったきっかけは?

伊藤 私は両親が建築士なんです。幼い頃から図面や模型が身近にありましたし、親が設計を手がけた家を見に行ったりしていました。幼い頃から建築の世界に触れてきたので、自分の中で「建築の道に進みたい!」という気持ちが自然と湧いてきましたね。

赤嶺 私は、親から商業系の高校を進められたので、言われるがままに入学しました。商業高校の3年間で、簿記などの資格や検定を数多く取得しましたが、将来、このまま事務仕事に就くことに疑問を感じたんです。そこで、自分は何になりたいのかを、もう一度、本気で考えて辿り着いた答えが建築士でした。伊藤さんと同じで、私も父が建築士なので、父親に相談すると、最初はすごく反対されました。父は建築の仕事の厳しさを知っているので、私が軽い気持ちで将来を考えていると思ったみたいです。でも、今は、すごく応援してくれています!

近藤 NBUの建築学科でインテリアデザインを学ぶ学生たちは、ひとつの製品ではなく、トータルコーディネートの世界に進みたいという人が多いですね。ただ単にインテリアを勉強するだけではなく、空間や構造といった建築的な視点を大切にしています。私の研究室では、家具やオブジェをつくるだけではなく、それを建物や部屋のなかで、どう活かすのかを考えたり、インテリアの視点からまちづくりの活動もしています。

伊藤 あっ!そういえば私が高校生の時、NBUの出張講義があり、近藤先生が講義をされましたよね。大分空港のサイン計画の実例を交えながら建築という職業について分かりやすく話してくれて、ますます建築っていろんな魅力があるんだなと思いました。

近藤 確か…あのときは、設計やデザインは交通や防災、健康など、いろんな分野とつながっているという話をしたと思います。だから、建築の世界だけじゃなく、いろんなジャンルに興味を持って、多くの事を学びながら自分のやりたい事を見つけてほしいと。覚えていてくれて嬉しいですね。

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現場だから味わえる、デザインの難しさと面白さ。

赤嶺 大学に入学して初めに取り組んだ課題は、自分で考えた椅子のデザインを、実際に形にしていくというものでした。「3種類の背もたれのない椅子をつくる」という課題でしたので、タイプの異なる椅子をデザインしたのですが、私がいちばん力を入れたのは、三角形の椅子です。なぜ三角形にしたのかというと…単純にフォルムが可愛くて好きだったからです(笑)。その椅子の足は当初、ただの直線でした。これでは耐久性が十分ではないのかも…と悩んでいたときに、先生から「足はクロスにした方が耐久性が増す」とアドバイスをいただきました。すると、デザインも全体的に美しい三角形が誕生し、魅力的になりました。耐久性とデザイン性の両方が理想に近づきました。

近藤 赤嶺さんのデザインした椅子は「静定構造」でした。静定構造は、支えるものを何かひとつでも抜いたら壊れてしまいます。つまり余分なものがない。だからこそ静定構造は美しく感じられます。赤嶺さんは建築を勉強し始めて1年くらいなので、詳しい構造の知識はないかも知れませんが、静定構造の美しさを本能的に気づいていたのかも知れませんね。理論的に理解するのはこれからでも大丈夫。「美しい」と思った感覚を大切にして欲しいですね。

伊藤 私が一番印象に残っているのは「鶴崎清正公二十三夜祭」というプロジェクトです。メイン会場は国道197号線ですが、そこから祭りの拠点となる法心寺へ向かう道路が暗かったんです。明るくするために灯篭を使うことにしましたが、単に灯篭を並べるのではなく、立体的な光の空間をつくりたいと思いました。グループでアイデアを出し合い、花火をイメージした光のオブジェをつくることになりました。普通は地面に設置する形のものが多いのですが、花火をイメージしているので、夜空に浮いているように見えるにはどうしたらいいのかをすごく悩みましたね。現場を何度も訪れて試行錯誤を繰り返しながら、なんとか形にする事ができて、本当に嬉しかったですね。

近藤 二十三夜祭は夜がメインなので、会場も昼と夜の雰囲気が全然違います。本番前に現場に行くのは、空間の確認だけではありません。地元の皆さんの話を直接聞くことで、伝統的な祭りへの想いや情熱を学生にしっかりと感じてもらいたいからです。心情的な活性化ができると作業のモチベーションも上がるんですよ。

伊藤 インターネットや書籍では分からない、現場を見たり、地域の人と話し合えたからこそ、祭りの歴史を肌で感じることができました。ほんの少しかもしれませんが、地域の活性化にもつながっていると思うと、この活動に参加して良かったです。「自分たちがつくったものが実際にまちを照らしている。」とてもキレイだと心から思いましたし、デザインの視点からアプローチできる範囲の広さも実感できました。

高良 僕が印象に残っているのは、臼杵市の秋の風物詩「うすき竹宵」のオブジェです。現地を訪れ、会場となるお寺の敷地内や階段を見学し、このスペースを彩ることはできないかと友達と話し合いながら思いついたアイデアを簡単にスケッチしました。そこから具体的に形にしていく作業が本当に大変でしたね。プロジェクトメンバー全員で協力しながら、ようやく完成したのが、なんと提出期限の1時間前!僕ひとりの力では絶対に間に合わなかったと思います(笑)。改めて建築はチームプレーなんだと実感しました。「うすき竹宵」のオブジェは、林野庁補助事業「木を活かす学生課題コンペディション」で審査員特別賞をいただきました。受賞はもちろん嬉しかったのですが、当日、会場に立ち寄ってくれた大勢の方が、足を止めて写真を撮ってくれたり、「キレイだね」と褒めてくれたことの方が感動しました。

赤嶺 私も椅子を制作する時は、友達や近藤先生からたくさんアドバイスをもらいました。色々な人の意見を聞くことで自分では思いつかないアイデアや、より洗練された作品になるのだと思います。

伊藤 一人より二人…人数が多いほど、自分とは違う意見が出てくるのが面白いですよね。自分のやりたいことを大切にしながら、自分とは違う考えの意見も取り入れることが、よりよい作品づくりにつながると思います。

知るほどに夢中になる奥深いデザインの世界。

赤嶺 椅子はなんとか完成しましたが、まだ勉強を始めてたったの1年です。これから建築模型の制作など新しい課題にチャレンジしていかなくてはいけません。とにかくひとつでもデザインに関する知識を深めていきたいですね。実は入学当初、これからの4年間のイメージが持てず不安でした。でも、大学で信念や情熱を持ちながら作品づくりに取り組む先輩たちと出会い、いろんな話をすることで、自分の中で、目標ややらなくてはいけないことが次第に見えてきました。

伊藤 二十三夜祭での作品づくりを経験したことで、現場に直接行くからこそ、得られるものがあると分かりました。大分県にはたくさんの有名建築がありますが、まだまだ実際に見ていない建物があるので、就職活動が始まるまでの1年間でできるだけ、自分の目で見て、その魅力をたくさん吸収していきたいですね。

高良 僕は4年生なので就職について最近よく考えています。もちろん空間デザインの仕事に就きたいと考えていますが、自分がやりたいこと、やりがいや満足感を得られる将来の仕事をイメージしながら、就職活動も頑張りたいですね。

近藤 設計や空間デザインという分野はアイデアが大切です。でも、いいアイデアというものは、ひらめこうと思ってひらめくものではないんですよ。大切なのはアンテナを張り巡らせ、チャンスを逃さないこと。簡単なことではないですが、みんななら、きっとできると信じています。

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MEMBER

工学部 建築学科4年
高良 祐希Yuki Takara
(沖縄県立浦添工業高校 出身)

高校時代に学んだインテリアの知識や技術をベースに、デザインの世界を追求するために沖縄県からNBUへ。自分のポリシーは曲げないけれど、ちゃんと仲間の良いアイデアも取り入れる。緩急剛柔の精神でデザインの道を歩み続ける。

工学部 建築学科3年
伊藤 彩希Saki Ito
(大分県立日田林工高校 出身)

両親がともに建築士というDNAを受け継ぎ、建築士を志す。参加したプロジェクトで、現場に足を運び、心で感じることの大切さを知った彼女。これからも、数多くの建築にリアルに触れることで、その感動や学びをこれからの設計に活かすことを誓う。

工学部 建築学科2年
赤嶺 星奈Sena Akamine
(大分県立津久見高校 出身)

商業高校で事務系の資格を取得するも、本当に自分のやりたいことは設計や空間デザインだと、心機一転、建築の道へ。ものづくりに対する感性とひたむきさは先生や先輩たちからも高い評価を得ている。

工学部 建築学科 教授
近藤 正一Shoichi Kondo

古民家の再生、省エネを推進する環境設備の設置など、イノベーションの新しい設計に携わる。学生とともに、家族のライフスタイル、地域とのつながりを見つめ直した新たな価値観やライフスタイルをインテリアデザインの視点から探求している。